漏斗胸・胸郭変形疾患でお悩みなら松山の漏斗胸専門病院

再手術について

再手術について

漏斗胸の手術の失敗例

CT写真

症例1

22歳の男性は関東の病院で2本のバーを用いたNuss法による漏斗胸手術を受けました。私共の病院を受診した一番の原因は、手術して2ヶ月経つのに両脇の胸の痛みが取れないということで来院されました。この時、挿入したバーの端がポッコリ飛び出しているのが分かりました。

手術後

手術の後、胸水が貯留して、術後約1ヶ月間の入院が必要でした。この間、痛み、呼吸苦、微熱をずっと訴えていたそうです。また微熱が継続して、入院期間が長期に亘りました。四国の方でしたので、単身で関東の病院に入院しているのも不安なので帰郷されました。御子息の様子を見て、インターネットで調べたところ、同じ四国の愛媛県で漏斗胸の手術を沢山している、と当院のホームページを見て気付き、初診されました。

術後の形態

術後の形態は、バーの突出を除けば前胸壁の挙上は我慢できる範囲内でしたので、当院で行っている術後の鎮痛治療を1ヶ月間行いました。しかしながらそれでも痛みが改善しない為、前回挿入していた2本のバーを抜去し、新たに当院が行っている筋層下ナス法を用いた再手術を行いました。勿論当院の手術ですから、エンジンジャッキを用いて、前胸壁の硬い骨をエンジンジャッキで挙上して一度柔らかくした状態で、バーを2本挿入して治しました。

再手術後

再手術後、手術前の痛みは消失し、東京の職場に復帰されました。私も学会等出張で有楽町に行った時は、職場を訪ねて「元気にしてる?」と言うと、ニッコリ笑って「仕事頑張っています。」とのことでした。職場の責任者も復帰に大変喜んでくれました。

この失敗例の原因は、1回目の手術で陥凹がまずまず取れたな、と思えるような硬い肋軟骨でした。1回目の手術をされた先生は、かなりの力を込めてバーを180°回したのだと思います。しかしながら幾らある程度挙上は決まっても、肋軟骨は折れていませんので、常に骨膜が引き延ばされていることから、術後の胸部の痛みがずっと続いたのだと思われます。

松山笠置記念心臓血管病院の手術方法

松山笠置記念心臓血管病院ではエンジンジャッキを用いた前胸壁挙上法を行い、キッパリと肋軟骨と胸骨の間、また肋軟骨と肋骨の接続部に骨折を入れます。

この様にした方が痛みが長引かないという事が証明されたような症例でした。挿入したバーが骨折の時に用いる副木となり、暫くバーを置いておくと、胸骨の位置も良好な位置になりますので、その後バーを抜去することで、良好な胸になります。

漏斗胸の手術は心臓及び肺の圧迫を解除することが目的ですが、この為に術後に痛みが出たのでは患者さんも大変です。キッパリと肋軟骨を折って、バーを入れて、前胸壁の挙上を行い、バーを留置していると肋軟骨の骨折は3週間でほぼ安定し、3ヶ月で完全に癒合すると言われています。

症例2

25歳の男性はナス法が始まった直後から行っていた施設で、平成12年(18歳)にバーを挿入しナス法一期的手術を行い、平成14年(20歳)にバーを抜去したとのことです。

松山笠置記念心臓血管病院に来院した時には、胸部圧迫感、猫背、疲れやすさがあり、外見上猫背が著しく、来院時のCTではバーの周辺組織が索状物となり、心臓を圧迫している状態でした。

日本でナス法が始まって比較的早期の症例

この症例は日本でナス法が始まって比較的早期の症例でしたので、ナス法オリジナルの術式で、バーを180°回転させると、バーの形態にも寄りますが、胸骨はある程度持ち上げるものの、胸腔の低い位置にバーが挿入され、左の術前CT像のように、索状物によりバー抜去術後心臓が圧迫されてしまいます。猫背が著しいのは、心臓が圧迫されている為に、姿勢を正しくすると圧迫が酷くなるので、少し猫背にすれば胸の幅の楕円が利用できますので、自ずと猫背になっているのだと思います。

殆どの方が猫背

漏斗胸患者さんで松山笠置記念心臓血管病院初診時に訪れた患者さんに私が良くお聞きするのは、漏斗胸の患者さんは殆どの方が猫背ですので、「今猫背になっていますが、これをきちんと真っ直ぐすると苦しいですか?」と尋ねると、患者さんは「長時間はキツいです。ちゃんとしようと思っても少し経つと猫背になってしまいます。」と仰っています。ここで示した症例はナス法一期的手術後、二期的手術(バー抜去術)を行い、バーの周りにある組織がヒモのような索状物になり、これが心臓を圧迫していました。一般の漏斗胸患者さんの場合は、漏斗胸の引っ込んでいる部分が、心臓を圧迫する為に猫背になります。

漏斗胸の場合の背骨の問題

漏斗胸の場合の背骨の問題としては、脊椎側弯症やストレートバック症候群を伴う事が有ります。勿論猫背はかなりの頻度で伴います。私は、「術後は猫背は治ると思うよ。」とお約束して、手術に臨みます。右側の術後のCTのように、松山笠置記念心臓血管病院では更に前方の肋間からバーを挿入しました。術中に術前に認めた索状物(ヒモのようなもの)は術中に切除しましたので、術前に認めた心臓の圧迫は解除されています。この症例がこの様な結果になった原因は、明らかに挿入した肋間が低い肋間であり、即ち後方の肋間であったと言えます。またバーの形成形態も比較的平坦であり、前方に盛り上げないようなバーの形態にしていたということが、この様な結果を招いたのだと思います。

再手術について

松山笠置記念心臓血管病院で再手術を行いましたが、初回手術よりなるべく前方、即ち上方の肋間から挿入すること、またバーの形態を工夫して、肋軟骨との間に空間を作らないことが大切です。当院では筋層下ナス法を行っていますので、陥凹した部分の肋間筋を切除して、ここからバーを挿入しますので、肋軟骨とバーとの間に空間が出来ることはありません。松山笠置記念心臓血管病院で行っている筋層下ナス法は、これらのことからも本症例のような合併症を来さない理由だと思います。

症例3

漏斗胸手術での失敗例で、私が当初の2例目の筋層下ナス法による漏斗胸外科治療を行った後、ある救急日に未就学児の女の子が肺炎で入院してきました。女の子は漏斗胸を認めましたので、入院後お母さんに「この漏斗胸はナス法で治るよ。」と説明したところ、「漏斗胸の手術のことは言わないで下さい。この子の兄弟が他の医療機関での漏斗胸の手術が終わったところで、バーがズレて牛の角のようになって両側の胸に突出しているんです。抜去する手術をするかどうか、相談しています。お願いですから放っておいて下さい。」と言われました。

この時期は未だ我が国ではナス法を用いた漏斗胸手術の初期の頃であり、手術術式も当初Nuss先生が始めの頃に行っていた術式で、高率な合併症であるバーの位置異常を来したのだと思います。女の子の肺炎は良くなって帰りましたが、この時、お話ししたご兄弟の術後の形態については分かりません。

2017年末迄に施行した920例の漏斗胸手術術後に、
位置異常を来した症例は一例もありません

松山笠置記念心臓血管病院が第一例目から行っている筋層下ナス法を行い、バーを肋骨に結紮すれば、このような事は無かったと考えます。日本にDr.Nussのバーが導入されてきた頃には、既にスタビライザーも同時に輸入されていましたので、用いることは出来ましたが、スタビライザーは質量が大きく、小さい子供ではスタビライザーを用いたところがプックリと膨れて、外見上もよくありません。松山笠置記念心臓血管病院では2017年末迄に施行した920例の漏斗胸手術術後に、バーの位置異常を来した症例は一例もありませんでした。

漏斗胸の手術で失敗すると出る症状

CT写真

※Nuss法術後の画像でバー周囲組織が索状となり、心臓を圧迫している。この為、胸部圧迫感、易疲労感、著しい猫背が見られる。

症例は25歳男性です。当時、まだナス法が始まって直ぐの頃から行っていた施設で、平成12年にバーを挿入、その後平成14年にバー抜去をされたとのことです。松山笠置記念心臓血管病院来院時には胸部圧迫感、易疲労感、猫背が著しく、来院時のCTで心臓はバーの周囲組織が索状物となり、圧迫されている像が見られました。

ナス法オリジナルの術式でバーを180度回転させると、バーの形態にもよりますが、肋間が低い場合挿入肋間同士の肋骨の高さにより、左のCT像の如く心臓が圧迫されてしまいます。猫背が著しいのは、立位のときに猫背にした方が胸腔の円が楕円となり長くなるため、無意識にしているのです。松山笠置記念心臓血管病院では更に高い肋間から挿入し、また術中に索状物を切除した為、右に見えるCT像のように心臓の圧迫は解除されています。

漏斗胸の手術で失敗する要因

手術風景

※エンジンジャッキで前胸壁挙上中

従来のNuss法原法は小児対象の手術である為、ある程度以上成長した大人に同じ方法を施行すると、胸郭が硬い為、挙上困難であり、充分な改善が得られません。

施設によっては胸骨に近い部分に2cmくらいの皮膚切開を入れて、この部分の肋軟骨を切除したり、肋骨の皮質を削り取ることで軟らかくして行っている施設もあります。一時期は胸腔内から「肋軟骨を電気メスで切る。」などという荒唐無稽なことをしている施設もありますが、電気メスでは大人の肋軟骨は充分な切開は不能であり、これでは胸郭の改善に対する何の影響も有りません。

松山笠置記念心臓血管病院では筋層下ナス法により肋間より直視下で胸骨挙上用バーを挿入して、エンジンジャッキで胸郭を引き上げることで胸郭を軟らかくした後、バーを180度回転させていますので、漏斗胸二期的手術(バー抜去術)の後に再陥凹するということがないのです。当院での良好な術後成績を10年以上学会発表しているにも関わらず、追試できないのが大学病院の弱い点です。エンジンジャッキで上げた肋軟骨-胸骨関節及び肋軟骨-肋骨接合部が線状骨折して、この部位はバーで挙上された後に、3ヶ月も経てばしっかりとくっつきますので、挙上された位置で保たれ、強固な胸郭が出来上がります。

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